IMAKATSU イマカツ

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K.IMAE TOP SECRET!

イマカツルアーデザイナー
長井健太公式ブログ

God Hand KENTAS Design Lab

アイアローの秘密!?

こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

昨秋の琵琶湖で、生態系の変化からか突如としてパターン化としたi字系は、全国的なブームの再来となり、今年はプラグ、ワームいずれも激戦区になりそうなi字系ですが、元々イマカツでは、I字系プラグとしてレーシングワカサギが販売されていた経緯もあって、レーシングワカサギでは捕れない魚がいることや、また近年のバスの学習能力の高さからか普通のI字系アクションでは見向きもしない事も多々あり、I字系+αを目標に新たな開発が始まっていました。

 

レーシングワカサギ(上)とアイアロー65

 

アイアローに求めたのは、軌道がブレ無く真っ直ぐに泳ぐことを絶対条件に、静止時やスイム時の姿勢、そして通常のI字系プラグには出せないダートアクションの追及に時間を費やしました。軌道がブレ無く真っ直ぐに泳がすには、アングラー側の技量に左右される部分でもあるのですが、ルアーの仕様によってもブレ無く真っ直ぐに泳がせられるかが決まります。また無警戒の魚は、比較的水平姿勢で泳いでいることが多く、摂食行動時や逃避行動時には、頭を持ち上げた姿勢で泳いでいることから、アイアローにも取り入れ再現させる事にしました。

 

フローティングとサスペンドをラインナップ

 

通常のミノー形状に多く、アイアローのような背の張った形状は、浮き姿勢が水平であれば、一定の速度でスイムさせるとリップが無くても潜ろうとする力が働きます。これは頭部の上面に水圧を受け、ルアーボディが前傾になることで、ルアーの背側と腹側の水圧差が生じることで潜行するのです。このボディ形状は引っ張る力と潜行する力が均等に近ければ、比較的水中を真っ直ぐ引いてくることができます。

 

ルアーの腹側より背側の水圧が高くなる為、潜行する力が働く。

 

逆に、ボディ-が上反りのペンシルベイトに多い形状の場合、ボディから張り出した腹部へ水流が当たることで頭を持ち上げる力が働くと同時に、当たった水流を左右に逃す力も働くために、ルアーボディは浮き上がり易く、ロールを伴ったふらつきも発生し真っ直ぐにスイムさせにくい形状なのです。また浮き上がり易いということは、ルアーが水面に出てしまいボディは左右どちらかに倒れ、一気にバランスを崩してしまいます。 もちろん、アイアローのような背の張った形状でも、一定の速度を越えると上反り形状のようにロールを伴った左右へフラフラとボディが動いてしまいますが、ルアーは潜行する力が働いているのでルアーの姿勢は破綻しにくいのです。このフラフラと動いてしまうアクションを制御するために、飛行機の翼にあたる垂直尾翼や水平尾翼の様な安定させる効果のある形状を設けました。試験段階では、このヒレ形状をルアーボディの様々な場所に取り付けましたが、ちょうど魚の背ビレと尻ビレとほぼ同じ場所へ設置することが、最もふらつきを抑制することが分かりました。

 

偶然にも魚のヒレ位置と一致したのです。

 

そして、背ビレの効果は、特にフローティング使用時の水面直下をトレースした場合に、背ビレが水面を切り裂き、背ビレの後方にV字の波紋を強く発生させるためルアーの存在感が増すのです。サスペンドモデルの場合は、このV字の波紋は水中で波動として発生し、魚にルアーの存在を気付かせる効果があり、フローティング、サスペンド共に小さいボディにも関わらず魚に対するアピール力は絶大です。

 

三つのヒレにより飛行姿勢が安定し、 飛距離にも貢献しています。

 

また、フローティングモデルでは、この二枚の尻ビレがルアー浮上時に抵抗板となり、頭上がりの姿勢で浮上していきます。ルアー潜行時からラインテンションを緩めた後の浮上に切り替わると、すぐさま頭を上げて浮上するため、その姿があたかも水面の餌をついばむベイトフィッシュの様であり、はたまた水面へ追いやられ逃げ場を失ったベイトフィッシュのような演出を自動で行うのです。

 

浮上時の頭上がりはバスに隙を与える瞬間!

 

I字系プラグは、真っ直ぐにスイムすることに特化しているため、ダート機能を備えることは非常に困難なのですが、アイアローの場合、トゥイッチ時にこの背ビレと尻ビレが水を掴み、ボディが左右どちらかに倒れ込むトリガーとなることで、ダートアクションを発生させる事が出来るため、バスに見切られにくい要素も獲得しているのです。

 

スナップを使用すると よりダートさせ易くなります。

 

そして、テールに取り付けられているヘアーは、現在ウェイビーヘアーとダズラーヘアーの2種類、このフライマテリアルは、何十種類とある中でも過去に実績があり、比較的入手し易い素材を選択しました。特徴としては、止めても艶めかしく動き続けるウェイビーヘアー、そしてフラッシングの強いダズラーヘアーとなっており、使用するフィールドや好みに応じて使い分けてみてください。

 

ウェイビーヘアー(上)ダズラーヘアー(下)

 

好みのフライマテリアルを購入して、付け替えれば新たな発見があるかもしれません。

 

それでは皆さん良い釣りを