IMAKATSU イマカツ

IK

イマカツプロスタッフ プロショップ疑似餌屋店主 G-niusProject代表 青木哲

ロデオライドリバイバー
共同開発者の声

イマカツプロスタッフ
JBで唯一の富士工業サポートプロ
ZIGZAGガイドシステム(PAT.P)の発案者でもあり、
経営している釣具店にてオーダーメイドロッドを20年作り続けている
G-niusProject代表

青木哲
Aoki Satoshi


Rodeo Ride Reviver
61 UL-M
Anthemアンセム

 TOP50プロの中でも屈指の実力を誇る三原プロのサイトフィッシングの軸となるロッドです。三原プロの使っていたロッドに足りていないものを聞くと「大きなバスを掛けてから取り込むこと」。圧倒的にバットパワーのあるスピニングロッドにしてほしいということでした。キーパーを稼ぐためのスピニングではなく、ひたすらに超ビッグフィッシュを獲るためのスピニングロッドというのが、彼の根底にあるスピニングコンセプトなのです。
 最初は私も20年のロッドビルディングの経験と知識とテクニックを使えばどうにかなるだろうと、三原プロの言う通りに単純にスピニングロッドのミディアムライトのブランクスに、ショートソリッドのエクストラウルトラライトのソリッドティップを継いだファーストプロトを完成させました。その竿は極端な先曲がりのテーパーを描く竿でしたが、三原プロは「いいんですけど、もうちょっとなんとかパワーを!」「指先の延長線のような感覚で動かせる竿になりませんか?」と。ここから戦いが始まりました。三原プロの要望は今までの既存の常識範疇ではもちろん存在しないロッドでした。

 指先の延長線上の感覚で動かせるというロッドは既に存在してました。それは今江プロのプロトロッド、噂の『ポッキー』です。しかしポッキーは素直な竿で、これぞ超高感度チューブラーブランクスの究極という竿なので、三原プロリクエストの『パワー』とは違う方向のロッドです。
 そこで私の長いバスフィッシングの記憶の中から出てきた竿は、皆さんも覚えている方もおられると思います(知っている人はおっさんです)が、TEAM UEDA PRO4 SSS『スプリットショットスペシャル』です。昔タックルボックスというバス雑誌にUEDAのロッドコーナーがあり、夢中になって読んだものです。そのロッドシリーズの他モデルはワンピースなんですが、SSSだけなんと当時のトーナメント全盛時代に反するツーピースだったのです。ツーピースといえば、まず持ち運びの便利な陸っぱりロッドというイメージが浮かびますが、なぜ一流のトーナメントプロが敢えてツーピースデザインにしたのか? それがヒントになりました。
 通常ブランクスを一本で焼くと、ある程度曲がりのつながりを気にして設計します。もちろん補強のカーボンを巻く等である程度は曲がりをコントロールできますが、ツーピースだとバット部分とティップ部分を完全に別で作れるので、曲がりや硬さを簡単に変えることができるのです。そのツーピース理論を採用した竿を自分用に作り以前から使っていたものがあり、それを三原プロに見てもらうとアッサリと「ツーピースでOKです」。開発は次の段階へ進むことができました。ここにも既存のカタチや常識にとらわれない三原プロの才能を垣間見ました。

 三原プロ要望のバットパワーを出す方法としては、ブランクの肉厚を上げることがまず思い浮かびます。しかしこの方法では極端に重くなってしまいます、もう一つの方法はブランクの直径を太くする。私はこちらを採用しました。マグナムテーパー、またはハイテーパーといわれるものです。
 この製法にすると手元に向かって太くなるので、持ち重りが少なく操作感がとても軽くなるのです。極端な見た目になりましたが、この製法でバットパワーと軽さを克服しました。
 さらにバット外径が13mmになったことにより、富士工業のリールシートVSS(内径13mm)と相性がよくなり、軽さと操作性のダイレクト感が出るようになりました。オリジナルのグリップデザインもアクションしやすく、2キロを裕に越える巨大なバスとのやりとりも不安なくできるようにデザインされています。

 実はここからが大変でした。選手主体の開発という体制をとっていないメーカー以外ではなかなかできない作業だったでしょう。一応私もTOP50選手なので理解できたのですが、いろんなことを理解するために、同じブランクで作った竿を試しに使ってみたりもしました。問題はソリッド部の硬さと長さです。これに関しては素材弾性を調整し、0.1mm単位の調整を幾度となく重ねていきました。が、三原プロとまったく同じ感覚を持てるはずもなく、最後の問題が「ワームアクション2回目のトゥイッチでソリッドの穂先がブレるのでなんとかして欲しい」でした。この常人ではまず感じ取れないほどの「神感覚」こそがまさにサイトの達人ならではの拘りであり、バスの鼻先で超軽量ルアーに命を吹き込む絶対的な性能だったといえるでしょう。
 これはソリッドをやめてチューブラーにすれば簡単に解消できるのですが、それではノーモーションで「ピッと刺すように投げる」この竿独特の超軽量ルアーのキャスト精度を犠牲にしてしまいます。悩んだ末アジングロッドによく使われている、あまりバスロッドでは使われていない極小ガイドT-KTTG 3をティップ部に採用しました。そうすることにより喰わせの決め技でもある、超ショートワンツートゥイッチの穂先のブレが解消したのです。

 このようにして三原プロの自信作、極限の繊細さと操作性を持つ超極細ソリッドティップ、そして2キロを越えるバスを悠々といなす極太のバット、構造上業界初のスリーピーススピニングともいえるRODEO RIDE REVIVER Anthemは完成しました。


Rodeo Ride Reviver
70 XH
Battle Cryバトルクライ

 このロッドは三原プロが2019年JB TOP50の第1戦七色ダムで優勝したときのテクニック、 ギルロイドJrを使用してのサイトフィシングをより完璧なものにしたロッドです。しかしながら、その釣りの専用ロッドかといえばそうではなく、スイムベイトやカバージグまでの釣りにも柔軟に対応できるスペックを秘めています。
 基本的なルアーウェイトは1/4ozから3ozとなっています。こちらのモデルはベース機種があり、初代ロデオライドRR-C611HXFFなのですが、いい部分は残し、更に圧倒的な粘りとトルクを持たせ、徹底的に細部にもこだわることで理想のビッグベイトロッドに仕上がりました。

 まずは三原プロのビッグベイトの釣りが通常とはまったく違う、まさに「ビッグベイトによる究極のフィネスである」ことを理解するところから始まりました。その中で最も彼がこだわったことは、確実に意志通りに掛けられることと、掛けたら絶対にバラさないロッドという矛盾点でした。
 通常のビッグベイトの釣りは、リトリーブしている最中にバイトをしフッキングの動作に入ります。ルアーが手前方向に動いている時に、さらに同じ方向にフッキングの力が加わるのです。しかし三原プロのビッグベイトの釣りは、ルアーを岩陰などに置き、ゼロテンション(完全静止状態)からのフッキングに入ることが多く、ラインスラックの多さも手伝って意志通りの力の伝達は難しく、フッキングは相当困難になります。掛ける時は意思を確実に伝える張りと硬さを持ちながら、掛けてからはブランク全身で粘ってヘッドシェイクに柔軟に追従するロッド。後者は特に従来のロデオライド611HXFFにはなかった特徴でした。そのため、当初はどんなブランクスがいいのか想像もつきませんでいた。

 繊細な操作性に重点を置く三原プロの希望で長さは7ftに決定しましたが、様々なブランクスを精査し、極めて粘りが強くトルクフルな特殊製法(通常のカーボンシートではない特殊なカーボンテープラッピング製法)の7フィート10インチブランクスを用意しました。ブランクスのエンド部分を切って長さ調節を行うのはよくあることなのですが、今回の方法は7フィート10インチブランクスの一番美味しい部分のみを切り出して使うという、これまた常識外の製法を採用しています。
 リールシートはビッグベイトロッドや巻物ロッドにオススメの富士工業 TCSを採用しました。このリールシートの設計はずいぶん古いのですが、力が掛かる釣りにはグリップ力もあり手に負担が少なく、痛くなりにくい特徴があります。グリップ長やデザインはもちろん三原プロに決めてもらいました。エンドキャップは小径化し服に引っかかりにくくデザインしました。同時にビッグベイトロッドなので握り部分までも細くすると手に負担が掛かるため、エンドキャップに向けて細くなる独自の形状をハンドクラフトで削り出しています。
 アクションを付ける時の竿さばきを考慮し、超軽量のチタントルザイトリングのガイドを採用。ティップ部分はWフットガイドを採用せず、シングルフットでも最も強いT-KBTG 4.5を用い軽量化を図っています。このロッドの特徴でもあり、最も奇抜にも見える大型トップガイドはあえてSiCリングで大口径のガイドを使用しています。これによってルアーのアクションを妨げず、ナチュラルにバスを誘える動きを出しやすく設計しました。
 軽量化とブランクスパワーの相乗効果で、ゼロポジションからのZERO-100%フッキングが可能になっただけでなく、特筆すべきはキャスト時に回転して飛びやすいジョイント型ビッグベイトが、ほとんど回らずに飛ぶようになりました。こうして三原プロの希望を100%具現化した超実戦型ロッド70XH Battle Cryは錚々たる実績と戦績を残し、ここに完成することになりました。