IMAKATSU イマカツ

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K.IMAE TOP SECRET!

イマカツルアーデザイナー
長井健太公式ブログ

God Hand KENTAS Design Lab

レイジーハードは柔らかい!?

こんにちはルアーデザイナーの長井です。

新型コロナは2020年1月に日本国内で初の感染者が出てからもう2年が経ち、一時はどうなるのかと不安な毎日を過ごしていましたが、ワクチンや薬剤開発のお陰で平常を取り戻せた感じにはなっています。しかし一部の海外では、未だコロナによりロックダウンを余儀無くされ、工場の稼働がストップし、商品が計画通りに作れないと言う情報も入ってきます。半導体が納入されないため、車が製造できないとニュースで良く見ますが釣具も例外ではなく、釣具部材の納期が半年以上待ちもざらにあるようです。
Made in Japanが数多いイマカツ製品も海外に頼らざるを得ない部材も多く、本当に困ったものです…

さて、何とか生産にありつけ発売間近に迫ったレイジーハード。
最大全長280ミリ、4オンスクラスと言うサイズにも関わらず、アングラーの意図したアクションに従順に対応する機能を備えています。


ジャバロンテール装着時280mm
リッジテール装着時250mm
ウェイト4ozクラス

左右へのメリハリのある軽快な首降りアクションを主軸に、ジャーク&キルやファーストリトリーブ&キルによって発生する高速ターンアクションでバイトを誘発することが可能となっており、今回レイジーハードには、レンジキープと高速ターンを同時に実現するために、スタビライザーマウスと呼んでいるリップの役割を果たす抵抗板をアゴ部分に設けています。


静と動というメリハリのあるアクションとレンジキープを可能としたスタビライザーマウス。

このボディ造形の一部と化したスタビライザーマウスが、適度に水を受け流すことで、一定のレンジをキープすることが出来るのです。また、一般的なリップ付きスイムベイトのように、ボディからリップがはみ出していないため水流を受け過ぎず、ダート性能がビッグベイトとは思えないほどのシャープさに仕上がっています。


アゴ下部にはウェイトハンガーを標準装備。アイデア次第でオリジナルチューンも可能になっています。

そして、左右へのクイックターンや3Dダートを実現させる為に、凹形状に湾曲している広角可動スロープジョイントC.W.S(Curved Wide-angle Slope)を新たに開発。


前後のジョイント断面が凹形状になっています。

前後ジョイントのスロープ面が平面ではなく、凹形状にしたことで、ジョイントが曲がりきった場合でも、前後のスロープ面同士の接触が面では無く点で接触することになり、水流を効率良く逃す構造となって、トゥイッチ等の軽いロッドワークでの首降りを容易にしたのです。


ルアーボディを90度以上曲げても前後のジョイント面同士が密着しないC.W.Sジョイント。

水の中で左右の手のひらを合わせ、拍手するように閉じたり開いたりするとイメージが出来ると思います。指先どうしを付けた(閉じた)時よりも、指どうしを離した(じゃんけんのパーの状態)時の方は抵抗が少なく、閉じたり開いたりが軽い力で出来ることが分かります。
指どうしを離した(じゃんけんのパーの状態)時の方が、手のひら側へスムーズに水が流れる為に抵抗が軽くなるのです。

このC.W.Sジョイントにより、軽い力でもジョイント部分が駆動するので、非常にクイックレスポンスが高く、柔軟なアクションを発生するビッグスイムベイトが完成したのです。


ジャバロンテールとリッジテールの2種類同時梱包、出荷時はジャバロンテールが装着されています。

水平なジャバロンテールは、左右への抵抗が少ない形状をしていることで、ドッグウォークや上下左右への3Dダートアクションを活かすことができ、またフラット形状により、わずかな水流に反応し艶かしい自発アクションをして、魚にアピールすることが出来ます。

リッジテールは、スローリトリーブでも即反応し、左右へ力強い振りを発生。まるで一定の間隔でリズムを刻むメトロノームのようにも見えます。この末広がりで幅のあるテールが、水流をガッチリ受け止め、ブレーキの役目をするので、ストラクチャー回りなど、極力移動距離を押さえ、長い時間魚にアピールさせたい場合に有効です。


リッジテール使用時は、フローティングになります。サスペンドにしたい場合は、針でテールに穴を開け、ネイルシンカーを差し込んで下さい。水中姿勢は、水平からやや前傾が理想で、必要に応じてボディ側にもウェイトボードを貼って調整して下さい。

そして今回、エラストマーテールに着色を施しました。(国内工場では初!?)この柔軟で意匠性に優れたエラストマー素材は、2次工程での着色は非常に難易度が高く、長い間課題となっていました。海外製では数社のメーカーがエラストマー素材に着色している商品を発売していましたが、どれも耐久性に満足出来るものではなく、理想とする強度は出せないのかと試作テストを繰り返しました。


今回はリッジテールのみ着色、ジャバロンテールは量産ルートには高コストなため、今回は見送り。

エラストマー素材への着色についての情報がほぼ無いに等しく、手探り状態の中、あらゆる塗料で試作実験してみました。最終的には自社でエラストマー専用の塗料を開発し、実用化することが出来たのです。


ある事をヒントに急展開したエラストマー素材への着色。
単一色のテールに1~2色加えるだけで映えますね。

それでは皆さん良い釣りを