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イマカツルアーデザイナー
長井健太公式ブログ

God Hand KENTAS Design Lab

UMAデスロール誕生!!

こんにちは、ルアーデザイナーの長井です。

毎日毎日、茹だるような暑さが続いていますが、皆さん体調管理の方は大丈夫でしょうか?
今年、日本の夏の平均気温が過去最高を大きく上回る驚異的な暑さを記録したそうです。
暑さ寒さも彼岸まで、という言葉がありますがまだまだ暑さが続きそうな気配がします。
秋分の日頃には少しは涼しくなっていると良いですが、そのうち日本の四季は無くなりそうですね…

さて、そろそろ店頭に並び始める世界初、前後逆回転軟体アクションルアー、UMAデスロール。


【全長150mm】
【フローティング31g】
【スローシンキング33g】

 

 

15年前、メキシコバカラックで驚異的な釣獲能力を発揮したデスロールの初期モデルは、回転体を支えるワンピースシャフト構造に問題があり、シャフト素材として硬質ステンレスワイヤーを使用していたのですが、バスのファイト等による横方向の力がルアーに加わり、シャフトが少しでも曲がると回転体であるボディの回転レスポンスが低下したのです。また、回転体に取り付けてある金属製リベットがステンレスシャフトと接触、摩耗する事で、金属間の腐食が起こり、著しく回転性能が落ちると言う難題が発生し、この問題は解決することなく、何時しかこのルアーは第一線の開発アイテムでは無くなってしまったのです。

 

 


【初期モデルのデスロールは、シャフトにステンレスワイヤーをラインアイからテールのアイまで貫通させた構造】

 

 

スピナーベイトのブレードのように、人間からも魚からも物体を認識し辛い回転するルアーというコンセプトは、一時も忘れることなく頭の片隅には常に有ったものの、良い案が一向に浮かぶことなく月日が過ぎて行ったのです。その間、回転するルアーは他社から出てはいましたが、ボディのほんの一部分しか回転しないタイプで、ボディ全体が回転する又はボディの前後が回転、しかも真っ直ぐな軌道を引けるルアーというものは世に存在しませんでした。

 

 


【デッドスクリュー、Iローラー70も元は回転ルアーのコンセプトから生まれたルアー、デッドスクリューは巨大なペラによる乱水流でボディの存在を目立たなくし、Iローラー70はピッチの早いローリングアクションで幻惑させバスに見切らせない効果を狙った】

 

 

昨年の10月初旬、何がキッカケだったか、ルアービルダーとして30数年余り、様々なアイテムのルアーをほぼ一通り作って来た自分としては、何としてでもデスロールを完成させなければ、と言う使命を感じ本格的に開発に取り掛かったのです。
初期モデルのデスロールの欠点を洗い出し、当初は単純にワイヤーが曲がってしまうのであれば、線径が太く曲がりにくいワイヤーを使えば問題は解決するのではないかと安易に考えていましたが、前述した通り、回転体に取り付けているリベットとワイヤーが接触、摩耗することで腐食し、回転性能が落ちるという問題からは避けることはできませんでした。また、ワイヤーが太くなると言うことは回転体に取り付けるリベットサイズも大きくなるので、ワイヤーとリベットの接触面積が大きくなり、それが抵抗となって僅かな水流ではボディが回転しないのです。

 

 

【回転体のボディが回転時にワイヤーで摩耗しないように取り付けるリベットは、大きいサイズを取り寄せたものの、逆に回転時に抵抗が増え低速で回転しにくくなるという結果に】

 

 

回転体の軸としてワイヤー以外のマテリアルは何かないかと模索した結果、糸ヨレを防ぐローリングスイベルを思いつき、ローリングスイベルを調べて行くうちにスイベルのタルの部分が多連結になった、糸のヨレを徹底的に排除する高回転スイベルがあることがわかり早速入手することにしたのです。

 

 

【多連ローリングスイベルは、必ず何処かの部分が回ることで糸ヨレを防いでくれる画期的なスイベル】

 

 

多連ローリングスイベル入手と同時にボディデザインも一新させ、多連ローリングスイベルを組み込んだ設計にシフト。
この多連ローリングスイベルを前後逆回転するボディへ各々前後に組み込み、フロントフックを設置してある中央の非回転ボディの前後に、前後逆回転するボディを繋ぎ止める方式を採用しました。この方式により、ボディが屈曲することでボディ全体に柔軟性ができ、ボディ中心部に設置した貫通ワイヤー構造のような横からの力に対し弱くなく、いつまでも回転性能は落ちないと思っていました。

 

 

【ローリングスイベル仕様のデスロールプロト、回転体ボディであるフロントとリアに計4個のローリングスイベルを設置、これで完成と思われたが…】

 

 

実釣テストしたところ、多連ローリングスイベルを使用しているにもかかわらず、摩耗なのか回転性能が次第に落ち始め、しかもファーストリトリーブ時の糸ヨレがひどく発生し、数匹釣っただけでリア部の前側のローリングスイベルのリング部が伸びて変形してしまったのです。糸ヨレの原因は、多連ローリングスイベルはタルの部分が少しでもボディに接触していると全く回らず、回転体のボディ-から出ている部分だけしか回らない事が判明したのです。ローリングスイベルのリング部の変形については、スイベル自体が横方向の力に弱く、デスロールのように屈曲する構造には向かないと分かりました。
ファーストリトリーブ時の糸ヨレを解消すべく、コスト的な問題で最後まで避けていたボールベアリングスイベルをラインアイ部分のみ取り付けようと思っていましたが、中途半端だと感じ、それならばローリングスイベルの使用箇所全てをボールベアリングスイベルに変更したら糸ヨレ解消はもちろん、もっと回転レスポンスの良いルアーに仕上がるのではないかと試作に取り掛かった。結果、ボールベアリングスイベル仕様のデスロールの回転性能は素晴らしく、ラインに軽くテンションがかかると直ぐに回転するほどの仕上がりになったのです。ですがここでまたも問題が発生、ボールベアリングスイベル内部に細かい砂等のゴミが入ると回転性能が極端に低下し、最悪全く回転しなくなってしまうのです。
ボディ側を通常の回転しないラインアイにして、ボールベアリングスイベルをゴミの入りにくい向きにしたうえで、ラインアイとボールベアリングスイベルをスプリットリングで接続する方法もありますが、強度のある大きい番手のスプリットリングがボールベアリングスイベルに接続できずに断念。回転体であるボディへのボールベアリングの取り付け方法を再度模索し、スイベル内に砂等のゴミが入りづらく、万が一砂等のゴミが入っても抜けやすくなるように特注でボールベアリングスイベルを作ることにしたのです。

 

 

【市販のボールベアリングスイベルを回転体のボディに装着する場合、回転のし易さからゴミの入り易い側がボディの外側になり、特に進行方向であるラインアイとリアボディの前側に設置してあるボールベアリングスイベルにはゴミが入り易い】

 

 

【特注で製作したボールベアリングスイベル、交換用として単品でも販売予定です。】

 

 

ボールベアリングスイベルによって回転性能は得られましたが、最後まで残った難題がリトリーブスピードを上げて行くと真ん中のボディが次第に右斜めになり、さらにスピードを上げると第一ボディであるフロントボディの左周りと逆方向へ、ぐるぐると回転してしまう現象が発生したのです。これはフロントボディで受け流された左回転の水圧によるもので、物体は水圧の低い側に行こうとするので、真ん中のボディはフロントボディとは真逆の右回転の力が発生してしまうのです。これを改善する為に大小様々な形の整流板をボディに取り付けてテストしました。

 

 

【右側面のみに取り付けられたディフューザーにより安定した姿勢をキープすることに成功】

 

 

紆余曲折を経て完成したUMAデスロール、この秋、日本中で目撃されるかもしれません!?

 

それでは皆さん良い釣りを