IMAKATSU イマカツ

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K.IMAE TOP SECRET!

株式会社イマカツCEO
今江克隆公式ブログ

K.imae Today's Tips 28682021/11/07

『エレキ戦の未来』

今回のTOP50弥栄戦で遂に全貌が明らかになった最先端ハイパワーエレキの数々。

多くのプロが「ハイガー」をリアエレキに採用しており、沢村氏を筆頭とする「ブラッシュレーサー」の速さも際立った。

今年から試合でのエレキ艇は船舶検査取得、保険加入が義務付けになったにも拘らず、時速10km前後を出せるエレキ艇はTOP50では、もはや珍しくもなくなった。

エレキ戦湖としては最大級の弥栄湖(青野ダムの3倍程度)すらさほど広い感覚はなくなった感じがする。

しかし、その中でも最も注目を集めたのは、KISAKAが取り扱う中国製ハイパーエレキ「イープロパルション」だろう。

弥栄湖戦では大塚プロと、キサカサポートの自分がトーナメント初導入を果たした。

軽いシーニンフ12Vの船底を研磨ブラッシュアップし、更にオールリチウムバッテリーで徹底軽量化した大塚艇はなんと「時速20km」を記録、最後尾スタートでもBWまでの全員抜きが可能いう、誰もが唖然とする驚異的な走りを見せていた。

自分は敢えて実戦能力を重視し重いジャビル14Fだったが、それでも短時間なら最高時速は12Km~13km近くまでは出せた。

しかしながら、このイープロパルションには致命的問題がまだまだ残っている。

それは48V仕様というバッテリーの問題だ。

大塚プロが使用したのはリチビーのイープロパルション専用に基盤調整された唯一のリチウムで、自分が使ったのはボイジャー120A(25kg)を4個直列にしたものである。

そのバッテリー性能の差は余りにも歴然で、48vを最後まで維持できるリチウムに対し、鉛のボイジャーは全開だと僅か15分でインジケーターは4つとも真っ赤になり電圧は40Vを切ってしまう。

パワーを70%に抑えて使っても、1時間程度で電圧が42V程度にすぐに落ちるため、パワーが垂れてしまい時速10kmの維持すら難しくなるのだ。

当初はE-CUBEの48Vをテストしていたが、全開にするとブレーカーが落ちてしまい、再起動ができず今回の投入は見送らざるを得なかった。

結果的に、スペアバッテリーとして大塚プロからノーマル仕様のリチビー48Vを購入。

こちらも特別仕様ではないため全開ではブレーカーが落ちてしまうが、10分で再起動が出来る事、70%出力までなら問題なく使えた。

このリチビー48Vはまだイープロパルション対応としては未完成だが、70%出力でも最後まで48Vを維持するリチウムの特性から、ジャビル14Fですら10.5kmを長時間維持する事が出来た。

イープロパルション70%開放に、フロントのミンコタを後部座席からリモコンで全開同時併用すれば、時速11.5kmでの長距離クルーズが可能だった。

試合中、ブレーカーが2度落ちるトラブルもあったが、10分以内には復旧し継続使用が出来た。

今後、イープロパルションが本格普及するためには、6000Wの全開出力に耐えうるリチウムバッテリーの製品化が絶対条件になるというのが自分の見解だ。

ボイジャー4個(100kg)「に、軽いとは言え巨大なリチビー48V(約25kg)、合計125kgを搭載した14Fジャビルでは常に時速13kmを出すには無理が
あった。

今回、6月開催のために準備していたウィザード12Vの弥栄湖戦投入は敢えて見送った。

軽量化されたウィザードなら、イープロパルションを搭載すれば鉛バッテリーでも時速15~16km程度は確実にマークできただろう。

ただ、今回の試合は晩秋であり、スポーン、アフターシーズンではないためBWや弥栄マグナムのベッド争奪戦の必要性はまずない。

小さくて狭いウィザード12Vに過剰な電子デバイスを大量搭載し、デッキ上での居住性、バランスの悪さ、持ち込めるタックルの制限等を考えると、そのストレスが一番自分には良くないと考えた。

エレキ戦で上位入賞する一番重要な事は、実は「ストレスの少ないセティング」なのである。

それは過去の経験からも明らかな事実なのだが、スピードへの渇望はいつの時代も麻薬のような魅力があるのもまた事実だ。

最終的に土壇場のタイミングで自分の元に返ってきたジャビル・フェニックス号を弥栄湖戦艇に選んだのは運命だったのかもしれない。

ボイジャー4発、48Vリチウム、満載のタックル、フル装備の電子デバイスを搭載して尚、1人乗りとしては余裕の居住性と快適な釣座を確保してくれた。

釣りに関しては全くストレスを感じなかった事が、最終戦に結果で残せた大きな要因だったと思う。

それ以上に満身創痍の歴戦の猛者であり、自分の癌闘病期を支えてくれたフェニックス号は、20年近く立った今も紛れも無く奇跡の”勝ち馬”だったと言えるだろう。

また捨てられない愛艇が増えた事が悩みのタネだが…。