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今江克隆公式ブログ

K.imae Today's Tips 34752024/02/16

『ガルネリウスの最終決断!』

先日のショーで展示した「ガルネリウス67M」。
量産指示最終リミットが今日だったんですが、最後の最後のギリギリまで悩んで最終決断しました。

ZIGZAG、採用を最後の最後で見送りました。

理由の一つがコチラ。

今江克隆のルアーニュースクラブR「もう1つの究極?ひねくれものガイド『「ZIGZAG(ジグザク)ガイドシステム』最新情報」の巻 第1180回

 

この記事の中で触れたこの部分が最終決断をした理由。

「ただ、太いフロロを扱う強いベイトロッドに「ジグザグガイド」を採用しないのは、使うルアーの重量が重い場合、ラインは常にある程度張った高接触状態になることがほとんどで、あえて「ジグザグガイド」にするメリットを感じないからである。また硬く太いフロロだと、ティップセクションで糸グセによる抵抗増加になることも理由の一つだ。
むしろ太フロロにマイクロガイドセッティングはライン自由度を過度に制限しすぎる傾向が強いために、逆に放出抵抗が少なく、巻取り時にラインの自由度が高くルアーが活き活きと動く「大口径、最小限セッティング」を選ぶのが、自分の考え方である。」

ガルネリウスは元々、スピニングとして重めのルアーを操作するために「フロロの4LB~MAX7lb」を使う事を前提に開発してきた。
開発段階で、ZIGZAGガイドのガルネリウスとの感度や飛距離を比較するために、同じブランクスでベーシックなガイドセッティングを施したガルネリウスも存在した。
ガイド数も13個から11個まで多岐に亘る。

実はショーで、ZIGZAGガイドの飛距離が通常と比べて落ちると言ってくるアングラーがいたが、自分的には「どうやってZIGZAGでない、全く同じブランクスのロッドと投げ比べしてるんだろう????」と思ってしまうのがホンネだ。

そしてこの記事中でも解説している通り、フロロ7lbまでのキャスト実験でノーマルガイドとの飛距離差はほぼ認められず、PE0.4~1号でも特に何も問題はなかった。
故にガルネリウスでは強いスピニングながら「感度」重視で、12個式のZIGZAGガイドを採用する方向性「だった」。

 

唯一つ、最後の最後まで懸念だったのが、フロロの13~14LBを組んだ時の「コブ」だ。

今江的にはこの強力な「吊るし」の組み合わせはスパイダースピン専用と思っていたが、ショーで「スパイダースピンの代用に使えますか?」と言う質問が引っ掛かった。
更に海外のお客さんがPE2号くらいで使えるかという質問もあった(海外でのラインは日本より遥かに太い)。

太めのフロロ対応で開発してきたガルネリウスだが、場合によってはスパイダースピン的な釣りにも流用したい人が多いと言う事を知った。
細分化、特化能力が必須なトーナメントと違い、オカッパリなら当然のことなのだろう。
更に近距離「撃ち吊るし」以上に長距離「投げ吊るし」が多いオカッパリならなおさらかもしれない。

あの京弥神様も弥栄戦の投げ吊るしでは、ブレイド12の1号にリーダー14lbフロロを使っていたのだ。

 

そこでショー後、すぐにPE1.5号にリーダー13lb、MCハンガー5gをFGノットで組んだスパイダースピンセッティングをガルネリウスで飛距離比較テストを行ってみた。
結果は飛距離に差はほぼ誤差の範囲しか出なかった。
キャストに於いてZIGZAGガイドが問題になるレベルではなかった。

やはりZIGZAGでいけそうだと思った時、思わぬ落とし穴に気が付いた。
それは「キャスト時の問題」ではなく、逆の「回収時の問題」だった。

最もコブの引っ掛かりがないFGノットでも、逆のリール側部分の結合部コブが最大の弱点だった。
ルアーを高速で回収する折、高速回転でスピンを伴ったリーダーのコブ部分が、ガイドに巻き込まれる時が最大の問題であることが発覚した。

逆バンクが付いた極小多数設置ガイドはもちろん、さらに左右の角度もつくZIGZAGガイドで、太いフロロのコブでは無意識の高速「回収時」にこそ大きな接触摩擦を発生させたのだ。
この高頻度の繰り返し摩擦はラインにもガイドにも危険だと直感的に感じた。

 

最もガイドの滑り(抜け)が良いFGノットとはいえ、それはキャスト時の事。
毎回猛スピードでルアーを回収した時の、ツイストを伴う太いリーダー連結部分のガイドへの巻きこみはリスキーだ。

たとえFGノットでもフロロリーダーのエッジ、PEの髭が、回収時はまるでフックの「カエシ」のようにガイドを叩く。
ガリネリウス67Mは「専用型」の最強スピダースピンに次ぐ、「汎用型」の強いスピニングロッドだけに、パワー吊るし流用での13~14lbリーダー、人気の高い海外ニーズも考慮し、最後の最後でZIGZAGガイド採用を見送った。

だがこの決断がガルネリウスの再構築、発売延期とはならない。
既にガイドリング径をZIGZAGガイド12個セッティング時よりワンサイズアップ(#4.5)、設置個数はストレート11個の甲乙つけがたい比較用リザーブモデルがあったからだ。
むしろ軽量感、持った時の「ヌケ感」ではコチラが上回る。

こういった理由で、ガルネリウス第一弾、Mクラスパワースピンは11個のストレートガイドを採用する最終決断となった。
突出したスラック感度をもつZIGZAGガイドの不採用にがっかりした方もいりかもしれないが、その必要はたぶんないと思うので今後の展開にご期待ください。

ガイドセッティングは本当に適材適所、必ずしも最先端が最高って訳でもなく、用途に合わせて個別にセッティングしてこそナンボのものですので。